第九話 「分かれ道」(前編) 「きびしい」目覚まし時計の音を遠くに聞きながら、圭介は呟いた。しばらく前から鳴っていたような気がしている。昨夜、遅くまでネットゲームをしていたせいで、起きるのが辛い。(我が社も早くフレック…
第八話 「ビコーズ」 世界が回るから、僕はうっとりしてしまう世界が回るのだから風が強いから、僕の心まで吹き飛ばすこんなにも風が強いから愛は古く、愛は新しい愛はすべてで、愛は君さ空が青いから、僕は泣いてしまう空が…
第七話 「工場裏の満開の桜の下で」 第七話「工場裏の満開の桜の下で」昼休みになると、工場の裏にある古いベンチへ行く。高橋真司は、幼い頃から周りとコミニケションを取るのが苦手である。話せたら良いのに、といつだって思うのだけど、…
第六話 「小さな火花」 「今日はもう、終わりだぞ。」後ろから工場長に言われた。「はい。」返事をしながら、今、溶接中だから、と心で呟いている。(もう時間か)もう少しやっていきたいが、最近は暇なせいかあまり残業をさせ…
第五話 「小さな古い椅子」 「・・・・・・どうした?何か用か?ジロジロ見られるのは好かん。」自分でも露骨に嫌な表情になるのが分かった。「見ての通り、ワシは、椅子じゃ。この工場に来てから、四十年は経つ。座り心地は、よくないぞ…
第四話 「まだ帰らないんですか?」 「お先に失礼します。」「お先―」チャイムと共に、解放された先輩たちの声が、工場に少しずつ響き始める。午後五時三十分。僕は入社してまだ三週間の新入社員だ。残業しない機械が、数台止まるだけで、工…
第三話 「直そうとして」 今日もいつもと同じ時間に目が覚めた。「習慣って、不思議だな。」工場へ向かう朝は、いつも早い。目覚まし時計より先に目が覚める習慣が、四十年間という歳月の中で身についていた。(・・・・・・退職して半…
第二話 「一本のネジ」 僕はネジ、名前はまだない。一本の小さなネジです。もちろん、工場で生まれました。たくさんの仲間と一緒に箱へ入れられ、待っている。誰かが手に取ってくれる日が来るのを。僕には特別な才能はありませ…
第一話 「言いかけて・・・・・・」 ある日の夕方、いつものように、時計が気になっていた。(洗濯ものたたんで、早く夕飯の準備・・・・・・、勇気は宿題やったのかしら)ふと見ると、小学生の息子の勇気は机の上で何かを夢中になって作っていまし…
新しいブログのシリーズー「ものづくり短編集」 開始! 明日から、新しいスタイルでブログを発信していこうと思います。テーマは、「ものづくりの短編」いろんな人たち・モノたち?の視点から、「モノづくり」とのふれあいを物語形式で描いていきたいです。大…