第二十三話 「ダンスホール」
2026/08/22
行きつけのダンスホールで、あいつを見かけて、俺は驚いた。
高校を卒業してすぐに・・・・・・、東京の大きな会社に就職したから、家を出るって・・・・・・。
あいつ、嬉しそうに言ってたっけ。
それから、しばらくしたら・・・・・・結婚したって、聞いたんだ。
もともと俺たちは、付き合っていたわけじゃないんだ。だけどもしかしたら、あいつも俺と同じ気持ちなのかもしれない、なんて俺は、思っていたっけ。
だから、悲しかったんだ・・・・・・そんな話は。
相手は、きっと、ちゃんとしたヤツなんだろうよ。少なくとも、俺なんかよりは。
・・・・・・しかし、このウイスキー、美味いな!
あいつを見かけて、何だか知らない人みたいな目をしてるあいつを見てたら、飲みたくなったんだ。
いつもは飲まないような強い酒を!
飲みながら帰ろう、そう思ったんだ。
・・・・・・俺にだって言い分はあるんだ。
決めつけたくないんだ、俺は。俺のやりたくない勉強だの仕事に、ずっとしばられるなんて、耐えられないんだ。・・・・・・、でも、そんなヤツが・・・・・・、そんなヤツじゃ、やっぱりダメなんだな。
だから人から見たら、言い分じゃなくて、言い訳なんだろうよ。
どうしてみんなは、そんなに早くやりたいことが見つかるんだ?
それとも、やりたくないことをするのが当たり前なのか?
分からない・・・・・・でも、
もう少しゆっくり、進んだっていいだろう?
でもあいつ、幸せそうに見えなかったな。
余計なお世話だろうが、悲しい気分になるよ。
ダンスホールで夢中になっていた頃、あいつのダンスは誰より光って見えた。
あいつだけが、なぜだかスポットライトを浴びてる!そう思ったんだ・・・・・・。
あー、頭がグラグラする。ふふふ。こんなに飲むなんて、初めてじゃないか。
明日のバイトなんて、・・・・・・どーでもいいや。
風が、気持ちいい。もっと、強く吹いてくれ・・・・・・。
・・・・・・そういえば、いつだったか、変な夢を見たな。
俺はまだ高校生で、いつものダンスホールで踊っている。いつの間にかあいつが一緒に踊ってるんだ。
俺は、コイツとずっと踊りたいと思い、あいつもそう思っている・・・・・・。
途中で何故か夢だって気が付くんだけど、夢から醒めたくないって、俺は思ってるんだ。
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