第十五話 「銀さん」(その1) 2026/08/01 新入社員の加納瞬には、悩みがあった。学生時代には、いつでも好きな時に吸えたタバコが、会社では吸えないのである。「ちょっとだけ、吸ってきていいですか?」入社後間もなく、直属の先輩佐々木さんに…
第十四話 「問題の月曜日」 2026/07/31 黒鉄製作所の朝礼は、基本毎日行われる。月曜日だけは全体で、その他の日は、各部署それぞれに行う。(話すことがないんだよなぁ、毎回毎回。)最近の工場長のもっぱらの悩みの種だ。火曜日からの第一工…
第十三話 「タブー」 2026/07/29 「おい、新人。今日はお前に大切なことを教えてやろう。」瞬が、自販機で買ったコーラを取ろうとして屈んだ時、突然後ろから話しかけられた。(確か、佐野、先輩だったな?)瞬は、振り返りながら、記憶…
第十二話 「言い訳」 2026/07/28 工場裏の桜の木では、蝉が朝からうるさく鳴いている。今日も暑くなる気配が、社員たちの気持ちにも少しだるく覆いかぶさっていた。(こんな日は、慌てて仕事をしないに限るな)と、気に考えているのは、…
第十一話 「お手柄の代償」 2026/07/23 人事担当の山本は帰りがけ、少し迷ってから、行きつけの飲み屋の暖簾をくぐった。「らっしゃいっ!」威勢のいい大将の声!「大将、また来ちゃったよ。」「おお、山ちゃん、お疲れさん。何言ってるの。毎…
インターミッション 「ある町工場のショートストーリー」を書きながら思うこと 2026/07/22 今回は、ショートストーリーを書きながらいろいろ思ったことを、途中経過としてブログに載せてみたい。 正直、なにができるかも分からず、正解がなにかも分からずこのブログは進めている、ということをお…
第十話 「工場の社食から」 2026/07/21 「この会社で、一番長くいる人って誰なんですか?」ある昼休み、加納瞬は、社食で隣りにいた工場長に話しかけた。「そんなこと聞いてどうする?」工場長は素っ気ない。食べながら話すのが嫌いなのだ。「…
第九話 「分かれ道」(後編) 2026/07/17 更衣室で着替えていると、同期の佐々木が入ってきた。「お疲れ~」「・・・・・・お疲れ」「おっ、ほんとにお疲れじゃん、圭介。どうした?女か?」「はぁ?」「じょーだん、ゲームだろ?どーせ」「ああ、まあ…
第九話 「分かれ道」(前編) 2026/07/17 「きびしい」目覚まし時計の音を遠くに聞きながら、圭介は呟いた。しばらく前から鳴っていたような気がしている。昨夜、遅くまでネットゲームをしていたせいで、起きるのが辛い。(我が社も早くフレック…
第八話 「ビコーズ」 2026/07/17 世界が回るから、僕はうっとりしてしまう世界が回るのだから風が強いから、僕の心まで吹き飛ばすこんなにも風が強いから愛は古く、愛は新しい愛はすべてで、愛は君さ空が青いから、僕は泣いてしまう空が…